毎年、ドバイをはじめとするイスラム諸国では、神聖な月「ラマダン」が訪れます。
初めてドバイを訪れる方は「ラマダン期間中はどんな雰囲気なのか」「1ヶ月断食って本当?」「ラマダン期間中に注意することはある?」など様々な疑問があるかと思います。
そこで今回は、ラマダンについてご紹介いたします。
◆ラマダンとは?
ラマダンは、イスラム教徒にとって一年で最も神聖な月です。
イスラム暦(ヒジュラ暦)の9番目の月を指し、イスラム教徒の【五行】※のひとつである「断食(サウム)」が行われます。
月の満ち欠けに基づいて開始日が決まり、新月または三日月が初めて観測された日を基準に、約1か月間続きます。
ラマダンの期間は、日の出から日没まで断食を行い、信仰を深め、心身を清めることを目的としています。
断食中は、飲食だけでなく、喫煙や口論、不適切な言動・行動も慎むことが求められます。
〈 断食が免除される可能性がある人 〉
✅ 妊婦や授乳中の女性
✅ 持病がある人や体調がすぐれない人
✅ 高齢者
✅ 子ども
※五行とは
1…信仰告白(シャハーダ):神を信じることを声に出す
2…礼拝(サラート):1日5回、キブラに向かってお祈りをする
3…喜捨(ザカート):富める者は貧しい者に与える
4…断食(サウム):ラマダン月は日中の飲食等を絶つ
5…巡礼(ハッジ):一生に一度は聖地に行く
◆ラマダンはいつ?
ヒジュラ暦は、純粋な太陰暦で閏月による補正を行わないため、毎年10日程度ズレが生じます。
従って、ラマダンも毎年開始日が変動します。
2025年は、《 2月28日(金曜日)頃~ 3月29日(土曜日)頃 》になると予測されています。
ラマダン終了後には、約3日間(今年は3月30日(日)頃~4月1日(火)頃)にわたって、イード・アル・フィトル(通称:イード)と呼ばれる
ラマダン明けのお祭りが行われます。
◆断食前後の食事について
ラマダン期間中、日の出から日没まで断食をするため、毎日の断食の前後には、スフール(断食前の食事)とイフタール(断食明けの食事)という
回復食のようなものを食べます。
・断食前の食事(スフール)
日の出前に「スフール」と呼ばれる軽い食事をとります。
エネルギーを維持するために、デーツ、ヨーグルト、オートミール、パン、水などが一般的です。
・断食明けの食事(イフタール)
日没後、「アザーン」(礼拝の呼びかけ)とともに断食が解かれます。
伝統的な食事の始まりはデーツと水で始め、その後スープやメインディッシュが続きます。
ドバイでは、期間中ホテルやレストランなど「イフタール・ビュッフェ」が提供される場所もあり、多くの人が集まります。
◆ラマダン期間の注意事項
ラマダン期間中、旅行者や非イスラム教徒の方も快適に過ごすために、以下の点には特に注意をしましょう。
✅公共の場での飲食・喫煙は控える
日中、公共の場(道路、公園、ショッピングモールの共有スペースなど)では、断食していない人も飲食や喫煙は控えましょう。
ショッピングモールやホテル内のレストラン・フードコートは、通常通り営業している場所が多いため飲食可能です。
飲食店によっては中が見えないように、つい立てや幕が張られることもあります。
※食べ物や、飲み物(ペットボトル飲料含む)を見えるように持ち歩かないよう気を付けましょう。セキュリティーの人に注意されます。
✅服装に注意(露出を控えた服装を心がける)
ラマダン期間は特に配慮するよう心がけましょう。
露出の多い服は避け、肩や膝を覆う服装が望ましいです。(ショールやカーディガンを持参すると便利です)
✅ラマダン中の営業時間について
ラマダン期間中、多くの店舗やオフィスは、営業時間に変更があります。
特に現地の飲食店は日没後に営業を開始することが多いです。
(例)
レストランやカフェ → 日没後に営業開始するところもある
ショッピングモール → 昼間は通常営業、夜間は深夜まで開いていることが多い
会社・オフィス → 労働時間が通常より短縮される
学校→半日などに短縮される
※特に、銀行や政府機関を訪れる予定がある方は、事前に営業情報を確認しておきましょう。
✅交通渋滞・事故に注意
夕方の交通渋滞には気をつけましょう。
断食明けの「イフタール」前(17:30~19:30頃)は、外食される方や仕事帰り、買い物客が通常より多いため、道路が混雑します。
タクシーも捕まりにくいので、早めに移動するのがベストです。
また、ラマダン期間中は交通事故が増加する傾向にあると言われています。
空腹や交通渋滞により、交通事故等のトラブルが増えやすい傾向にあるので外出時には注意しましょう。
車の運転の場に限らず、些細な事が大きなトラブルとなる可能性もあるため注意が必要です。
他にも、ラマダン中は、大声での会話、大音量で音楽を流すことは控えましょう。(礼拝時間やモスクの近くでは特に)
◆最後に
ドバイは観光地であるため、他のイスラム諸国に比べて旅行者に配慮された仕組みになっています。
そのため、不便に感じることはほとんどありません。
しかしながら、伝統や文化を知り、敬意を持つことは重要です。
ラマダンは、イスラム文化を深く理解できる貴重な機会です。
現地の人々の習慣や価値観に敬意を払いながら、特別な時期ならではの雰囲気を体験しましょう🌙